'98将棋ブログ

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関東・中部・関西・中四の同期4人が共同ブログを始めたようです

西日本大会団体戦第五局自戦記(Ray)

今回は、8月21~22日に龍谷大学で行われた西日本大会団体戦の第五局について振り返りたいと思います。

 

正直、内容も姿勢も記事にするのが躊躇われたほど恥ずかしいものです。誰にも見せたくないと思ったし、この大会の後は自己嫌悪に陥って身近な人達でさえ遠ざけたいと思いました。

しかし、人間都合の悪いことは忘れようとするもので。形に残さなければ今回のことも忘れてしまい、また同じ轍を踏む気がしたので記事に残そうと思った次第です。

かなり感傷的な内容になると思うので、苦手な方は回れ右願います。

 

1.対局前

この将棋は二日目の第一局でした。

一日目、私は大きなやらかしを繰り返していました。指し手が早すぎて棋譜取りに迷惑をかけたり、持ち時間を相手に使い切らせることも出来ぬまま圧敗して、まだ対局中のチームメイトに悪影響を与えてしまったり。挙句四局目では苦しい将棋を粘って相入玉に持ち込み点数で勝っていたにも関わらず、条件を満たさない状態で宣言法に踏み切ってしまい、反則負けとなる始末。1勝3敗という惨憺たる結果で一日目を終えました。

合わせる顔がなく、夕食や控室でもチームメイトとは行動を別にしていました。今考えると、本当にとんでもねー奴です。チームにいらない。

ホテルでは、先輩方や同級生と共に話したり遊んだりして、二日目に向けて気持ちを切り替えることが出来ました。本当に最高の仲間に恵まれていると思い、感謝しかありません。そして、二日間迷惑かけてばかりで本当にすいませんでした。

 

迎えた二日目、第五局の相手は優勝候補筆頭の中部中四選抜チームでした。

私は広島(中四)から名古屋(中部)に出てきた身なので知り合いも多く、知り合いと当たるのではないか…と思っていました。

案の定(?)私の相手はTwitterなどで昔からお世話になっていたYさんでした。学生名人戦3位や南海王将連覇などの実績を持つ強豪です。

相手が格上であることははっきりと分かっていましたが、団体戦では勝つことが求められます。負けても許されるなどとは毛頭考えずに対局に臨みました。

 

2.初登用の策

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(図1は14手目▲6八玉まで)

対局は私の後手でしたが、便宜上先後を入れ替えて表記します。

図1の▲6八玉が指してみたかった手。飛車先を受けずに一手省くことで、攻撃態勢を先手より先に整えようという目論見です。

他にも狙いは色々ありましたが、研究分野なのでそこは内緒。

(図1以下の指し手)

△3二金▲3八銀△9四歩▲9六歩△1四歩▲1六歩△7四歩▲3六歩△7三銀▲3七桂△6四銀▲4六歩△4二玉▲4七銀△7三桂▲4八金△8六歩▲同歩△同飛▲2九飛△6二金▲8七歩△8一飛▲5六銀△5四歩▲6六歩△4四銀(図2)

 

3.作戦負け

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(図2は41手目△4四銀まで)

一手省いたとはいえ、元の手番や早繰り銀の速度もあり、先攻を決めることは難しいと考え本譜は陣形整備に手をかけました。

しかし、こうなると持たれた一歩がモノを言ってきて、桂頭のケアや壁銀の解消、△8五桂の筋などへの対応に追われることとなりました。

図2の△4四銀は「やってくるだろうな」と思いながらも、次の▲5五銀右への対処が分からず、▲6六歩と突いた手を後悔していました。

(図2以下の指し手)

▲6七金△5五銀右▲4七銀△9三角(図3)

 

4.対応を誤る

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(図3は45手目△9三角まで)

4六、6六いずれの歩を取られても勝ちの無い将棋になってしまいます。こんな手を指すようでは…と思いながら▲6七金と上がり、銀ぶつけにも▲4七銀と引いて自重しましたが、この手順が最悪。

図3の△9三角を見落としていました。▲7七銀には△8五桂。

全てが裏目に出る展開となり、既に半ば負けを悟っていました。

しかし、昨日の自分の失態や、これが団体戦であることを思い出し、簡単には倒れまいと腹を括って次の一手を指しました。

(図3以下の指し手)

▲7七角△8五桂▲7八玉△7七桂成▲同銀(図4)

 

5.駒損の受け

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(図4は50手目▲7七同銀まで)

とにかく△6六銀を許してはならないと考えました。どう指しても悪いけれど、一番長い戦いにしてやろうと思い▲7七角と打ちました。

△8五桂に角が逃げているようでは意味が分からないので▲7八玉と寄り、角取りを銀で取れるようにしました。今考えれば、これらの順は全て飛車先交換を許したことで生じたものです(8七に飛車の利きが直通している、8五に桂馬が跳ねられる)。序盤の構想ミスを完璧に咎められ、力の差を感じました。

図4は角桂交換の駒損。陣形もいびつで勝てる未来は見えませんでしたが、すぐに負けることのない形にはなったと踏んでいました。

(図4以下の指し手)

△8二角▲4五歩△3三銀▲7五歩△6四銀▲7四歩△7一飛▲2四歩△同銀▲5六銀△3一玉▲4六桂△5三銀▲3四桂△3三歩▲2二歩△3四歩▲2一歩成△同玉▲6五桂△4二銀▲7三歩成△同金▲同桂成△同飛▲8四金△7一飛▲7三歩(図5)

 

6.抑え込みを狙う

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(図5は78手目▲7三歩まで)

一気に攻め切る順を見送ったのか、相手の方針はここで体力勝ちに切り替わったようです。5五まで出た銀が流れるように玉側に吸い寄せられていきましたが、相手の攻め駒が薄くなったと見て抑え込みに方針を固めました。金桂交換を果たし、▲7三歩と打った図5。角金交換を果たせば駒損が解消できると考えましたが、相手の持ち駒は増える一方でこちらは何も手を作れない。まだまだ苦しいと考えていました。

(図5以下の指し手)

△5五歩▲6五銀△8一歩▲7四銀△5一飛▲7二歩成△9三角▲同金△同香▲6二と△5四飛▲6三銀不成△8四飛▲7五角△8三飛▲7四銀成(図6)

 

7.好転

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(図6は94手目▲7四銀成まで)

相手の手に乗って抑え駒を増員し、なんとか抑え込みの形を作ることに成功しました。

飛車を取れば、寄せを見せつつタテに自陣へ利かせて飛車を打ち込み、負けない形を作ることができます。流石に良くなったか、と思ったのですが既に双方30秒将棋。ここから誤りに誤り泥沼化、飛車取りを巡る攻防が続きます。

(図6以下の指し手)

△8二飛▲6三と△8五角(図7)▲8四成銀△6三角▲7三成銀△8五飛▲9三角成△7五桂▲7六銀△6七桂成▲同玉△8四桂(図8)▲6三成銀△7六桂▲8六香△7五銀(図9)▲5八玉△8六銀▲7四角(図10)

 

8.死闘

 

(図7は97手目△8五角まで)

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(図8は107手目△8四桂まで)

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(図9は111手目△7五銀まで)

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(図10は114手目▲7四角まで)

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各図を見ていただけたら分かると思いますが、常に駒が当たりになっていながら飛車を取る余裕を与えてくれませんでした。△8四桂も△7五銀も指されてみれば納得といった手で、30秒将棋の中で正しく対応出来た自信はありません。相手の勝負術と秘術に脱帽するばかりでした。

しかし、図10の▲7四角でついに飛車を捕獲。これさえ取り切れば…と思っていたので、少し安心しました。

(図10以下の指し手)

△7五飛▲同馬△同銀▲4七玉△6八桂成▲6一飛△3一銀▲5三成銀△6四金▲8三角成△8二歩▲7三馬△4六香▲同玉△6七角(図11)

 

9.最後のお願い

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(図11は131手目△6七角まで)

飛車を取り切り、勝ちになったと思いました。▲2九飛+▲4八金の形が安定しており、右辺まで逃げ出せばまずこちらは寄らず、あとは確実に攻めるだけ。

図11の△6七角は先手の最後のお願い、といった手でした…ところが。

(図11以下の指し手)

▲6四馬△5六金(図12)まで133手で先手の勝ち

 

10.三手トン死

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(図12は133手目5六金まで)

この時の自分が何を考えていたのか今でも分かりません。▲6四馬とするつもりなら△8二歩は同馬と取るべきであったし、入玉を目指すにしても他にやりようはあっただろうし、何より…自玉の三手詰すらも見えないか!

戻って図11では、▲2五桂でこちらの勝ちでした。自玉に詰めろはかからず、次の▲3三香が詰めろとなり一手一手。

この手を指摘されて、自分のあまりの不甲斐なさと情けなさで、涙が止まりませんでした。

混乱して感想戦もままならず、対局相手の方を始め周囲にまたも迷惑をかけてしまいました。

退席してトイレに籠り、落ち着くまでどれほど時間を要したか。まさか大学生にもなって。本当に情けない。

昼食の時間、隣にYさんが来られて「そういう感情も大事や」と、声を掛けてくださいました。

今回の負けは、大会を通した振る舞いは、自分の実力的な弱さ、そして意志の弱さ、そういったものが全て如実に顕れたと思います。

忘れてしまいたいけれど、忘れてはならない。その思いで、恥ずかしいけれど今回の記事にしたためた次第です。

明々後日には、東京でオール学生団体戦があります。そこではきっちりと結果を残し、チームにとって必要とされる存在であれるよう、またゼロから頑張りたいと思います。