'98将棋ブログ

'98将棋ブログ

関東・中部・関西・中四の同期4人による共同ブログです

結局、脇システムの千田新手△6四同歩ってどうなったのだろう?(Ray)

ここ数ヶ月で矢倉が終わったり終わってなかったりしたそうで…(無知)

 

ただ、最近は▲7六歩に△8四歩と突いても▲6八銀から矢倉を目指されることは少なく、▲2六歩から角換わりになることが多いような気もしていて、相矢倉の勉強はぱったりしなくなっていました。(こちらが矢倉に組んでも、▲6六歩を突くと左美濃急戦を仕掛けられるし、▲6六歩を突かなくても雁木に組まれて相矢倉は指させてもらえないし。角換わりは角換わりで桂馬ポンポン跳ねられて嫌なので二手目△8四歩自体突かなくなってしまったのですが…)

 

そんな中、先日棋譜を並べていて目を引く変化に出会いました(図1)。

f:id:shogi98:20180213200045j:image

(図1は△1四歩まで)

図1から、従来は▲6四角△同銀▲2六銀…と進むのが習いある筋。相矢倉脇システムです。

先後や端の関係(突く順番、返すか返さないか)などによって様々な変化があるため一概にはまとめるのが難しい戦型ですが、第42期棋王戦第2局:先手:渡辺明棋王 対 後手:千田翔太六段で、図1より▲6四角に△同歩と取る新手が出ました。

非常に面白い手だと思ったのですが、この一局以降取り上げられることも無く(私が不勉強なだけかも知れませんが)結論はどうなったかよく分からないままでした。

 

しかし矢倉は終わってなかったみたいですし、この機会に当時の観戦記や脇システムの棋書を漁って、自分なりに△6四同歩の変化について考えてみたいと考えました。

 

手の善悪については保証しかねますが(今回はあまりソフトに傾倒したくないので)、出来る限り頭を絞ってこの定跡の変化に触れていきたいと思います。

 

〜〜〜〜〜

 

(図1以下の指し手)

▲6四角△同歩(図2)

f:id:shogi98:20180213200239j:image

(図2は△6四同歩まで)

従来銀で角を取り返していたところ、歩で取り返したのが千田新手。狙いは△6五歩~△7五歩~△3九角の馬作りです。

この手に対し、先手は▲4六銀と▲2六銀の2通りの手段が考えられますが、▲6四角に対し△同銀と取り返す変化は、両端の突き合いが入っている形では▲2六銀が主流なので、先手がそれを想定していたと考えて△6四同歩に対しても▲2六銀と出る変化を考えていきたいと思います。

 

(図2以下の指し手)

▲2六銀△6五歩(図3)

f:id:shogi98:20180213200742j:image

(図3は△6五歩まで)

ここで少し分岐。△6五歩に対し▲1五歩と仕掛けるか、▲6五歩と素直に応じるか。

前述の棋王戦では先手は▲6五歩と応じていましたが、それは後で調べるとして、まず▲1五歩について見ていきたいと思います。

 

(図3以下の指し手)

▲1五歩△6六歩▲同銀△1五歩▲同銀△6四角▲3七角△同角成▲同桂△5九角(図4)▲4六角△4五歩(図5)▲同桂△1五香▲3三桂成△同金上▲4八銀(図6)

f:id:shogi98:20180213201449j:image

(図4は△5九角まで)

 f:id:shogi98:20180213201507j:image

(図5は△4五歩まで)

 f:id:shogi98:20180213201525j:image

(図6は▲4八銀まで)

一方的に攻められてはまずいので、後手は先手の桂馬を跳ねさせて、それを目標に△5九角と打ち込みます。

銀が質駒になっているため先手の受けは▲4六角くらいだと思いますが、そこで△4五歩と突いてどうか。

同桂で先手の攻めを調子付かせるようですが、△1五香と走った時にヒモが付いているのがポイントで、以下銀を取り合って先手が後手の角を捕獲した図6をどう見るか。(なお、手順中の△3三同金上に関して、個人的に端を攻められているので3二の地点が空いている方が後手玉が広いかなと思っただけのことで、△同金寄との善悪はよく分かりません)

図6以下は△4八同角成▲同飛△1九香成と進み、駒割は▲角と△銀桂香の三枚換え。優劣は微妙だと思いますが、後手は小駒を敵玉頭に設置していく方針が分かりやすいのかな、と思います。

 

 

f:id:shogi98:20180213200742j:image

(再掲図3は△6五歩まで)

次に、▲6五同歩と素直に応じた変化を見ていきます。

 

(図3以下の指し手)

▲6五同歩△7五歩▲同歩△3九角(図7)

f:id:shogi98:20180213202851j:image

(図7は△3九角まで)

△7五歩に▲1五歩は△7六歩▲6六銀で先程より条件が悪化するので、▲6五同歩と取ったならこう進むところ。

ここで再び分岐。△3九角に対し、▲1八飛と▲3八飛が考えられます。

まず棋王戦で指された▲1八飛から見ていきたいと思います。

 

(図7以下の指し手)

▲1八飛△7五角成▲1五歩△8六歩▲同銀△3九馬▲3七桂△6六歩▲7七金寄△1五歩▲4六角(図8)△5五歩▲1三歩△同香▲1二歩(図9)f:id:shogi98:20180213203455j:image

(図8は▲4六角まで)

f:id:shogi98:20180213203603j:image

(図9は▲1二歩まで)

実戦の進行です。後手は△3九馬と再侵入して先手の攻めを催促し、先手は▲4六角と据えて端攻めを狙う。

この順が最善であるかは分かりませんが、図9の▲1二歩としたところで、△8五歩▲9七銀を決めてから△1六歩と伸ばすと、次の△1七歩成が厳しく後手が良かったのではないか、との見立てがあったようです。実戦は巧みに攻めを繋げた先手が勝ち。

しかし、それではこの手順中先手にまずい手が存在したとしたらどこか。△3九馬に▲3七桂と逃げず、▲1四歩と取り込む手の検討が必要そうです。

△3九馬以下、▲1四歩△6六歩▲7七金寄△2九馬に▲7四歩△同銀▲4六角(図10)△1八馬▲8二角成△3六馬▲1三歩成△同香▲同香成△同桂▲1四歩△1二歩(図11)

f:id:shogi98:20180213204536j:image

(図10は▲4六角まで)

f:id:shogi98:20180213204558j:image

(図11は△1二歩まで)

飛車取りに対し逃げる手もあるところで変化は煩雑ですが、一直線に取り合う過激な変化だとこう進むと思われます。結果の図11をどう見るかですが、既に終盤の入口で優劣がついていてもおかしくなさそう。個人的にはどちらを持っても正しく指せる自信が無いので避けたい変化のような気もします…

 

それでは、最後に△3九角に対し▲3八飛とする変化を見ていきます。

f:id:shogi98:20180213202851j:image

(再掲図7は△3九角まで)

(図7以下の指し手)

▲3八飛△7五角成▲1五歩△8六歩(図12)

 f:id:shogi98:20180213205445j:image

(図12は△8六歩まで)

ここでも分岐。△8六歩を歩で取るか銀で取るか。

▲8六同歩には△8五歩と継ぎ歩で攻めます。そこで▲7六金などと指すと△同馬~△2七金(図13)があるので素直に▲8五同歩と応じます。

f:id:shogi98:20180213205731j:image

(図13は△2七金まで)

▲8五同歩以下、△1五歩▲3五歩(▲7六銀は△6六歩▲7七金△7六馬~△6七銀と食いつかれる)△3五同歩▲1五銀△9三桂(図14)

f:id:shogi98:20180213205941j:image

継ぎ歩~裏桂が早く、銀の質駒もあるのでこの攻め合いは後手に分があるように思います。従って△8六歩の突き捨てには▲同銀と応じます。

 

(図12以下の指し手)

▲8六同銀△6五馬▲6六歩△6四馬▲2八角△8六馬▲同歩△2七銀(図15)

f:id:shogi98:20180213210247j:image

(図15は△2七銀まで)

△6四馬に対し▲3七角や▲4六角は同馬と取られて形が乱れるため、▲2八角と合わせますが、△8六馬~△2七銀が切り返しとして生じます。

 

(図15以下の指し手)

▲6八飛△2八銀成▲同飛△6五歩▲同歩△3九角▲3八飛△7五角成▲7七銀(図16)

f:id:shogi98:20180213210645j:image

(図16は▲7七銀まで)

馬を消されてみると、後手から意外に手が作りにくい。再度の△6五歩~△3九角であくまでも馬を作りに行きますが、▲7七銀が手厚い受けで先手にも反撃の手番が回って来そうです。

 

〜〜〜〜〜

 

以上、ごく一部の変化ではありましたが、相矢倉脇システムの千田新手△6四同歩について見てきました。

検討してみた印象としては、△3九角に▲3八飛から丁寧に面倒を見れば、先手にも反撃の手番が回って来てまずまずやれるのではないかな、と感じました。

 

相矢倉がめっきり減ってしまったこの頃ですが、面白い変化はまだまだ潜んでいると感じました。

長くなりましたが、今回はここらへんで。ありがとうございました